ドローンを購入し、UAV測量をやってみたいという人向けに必要なものをまとめておきます。ぜひ参考にしてみてください。
ドローン
機体だけでなく、バッテリーや保険なども必要です。
Mavic 2 Pro
これがなければはじまりません。入門用のドローンとして購入するならMavic 2 Proがもっともオススメです。
以前なら、入門用ドローンといえばPhantom 4 Proでしたが、Mavic2が発売されたことにより、折りたたみ式に小型化され、全方向障害物検知がついたMavic 2 Proが現在、もっともおすすめのドローンになりました。もちろん、カメラの性能や価格はPhantom 4 Proと変わりありませんのでご安心を。
さらに高性能なカメラを搭載し、より高低差のある山間部での精度の高い写真測量が必要な場合はInspire 2がオススメです。撮影高度を上げることができますので、より広い範囲の写真を一度に撮影でき、作業効率が上がるのも特徴的です。
そして、GNSS測量のRTK方式を利用し、より位置精度の高い写真測量が可能な機体が、先ほども紹介したPhantom 4 RTKです。写真の位置精度が高いため、画像処理時の位置補正作業が大幅に短縮されます。
より少ない対空標識で、より精度の高い写真測量を行いたい場合はPhantom 4 RTKを導入しましょう。
Mavic 2 Fly Moreキット
- インテリジェント フライトバッテリー × 2
- Mavic 2 カーチャージャー × 1
- バッテリー充電ハブ × 1
- バッテリー – パワーバンク アダプター × 1
- 低ノイズプロペラ × 2組
- Mavic 2 ショルダーバッグ × 1
上記のものが含まれています。Mavic 2 Proは22~23分飛行するとバッテリー低下のアラームが鳴ります(バッテリー1つの最大飛行時間31分)。ですから、機体だけを購入しても、バッテリーは必ず不足します。バッテリーは最低3つ、充電ハブ、そしてプロペラの予備も必要なので、やはりこのフライモアキットの購入をおすすめします。Mavic 2を入れたときのサイズ感はジャストです。
Mavic 2 インテリジェント フライトバッテリー
バッテリーが3つじゃ足りない人はこちらをどうぞ。
DJI Care Refresh (Mavic 2)
1年間の有効期限内に衝突や水没などにより故障した場合、2回まで有償で新品と交換できます。この保険に入っておけばMavic 2 Proの場合は初回15000円、2回目18000円支払えば新品に交換してもらえます。無償じゃないのね(笑)
DJI無償付帯賠償責任保険
DJI対象製品の購入特典として、第三者への賠償責任保険が1年間無償で付帯されます。必ず加入しておきましょう。飛行許可申請でも保険への加入は必須の条件となっています。2年目以降も継続して申し込む場合は年間8400円~となっています。
ソフト、アプリ
iPadや飛行禁止区域のチェックアプリ、航空写真の画像処理ソフトなどが必要です。
iPad mini
ドローンのコントローラーに接続し、画面として利用します。DJI公式の自動飛行アプリ「DJI GS Pro」がiPad専用のアプリですので、他のアプリを使用しない限りiPadの購入は必須となります。ただし、iPad AirやProの場合は画面が大きすぎるので、iPad miniがオススメです。飛行禁止の場所ではドローンのロック解除が必要になります。スマホによるテザリングや、ポケットWi-Fiなどを利用して現場でも通信できるようにしておきましょう。
そして、ドローンの操作では関係ありませんが、iPadの普段使いとしてカーナビなどのGPS機能を利用したい人はWi-Fi+Cellularモデルを買うようにしましょう。Wi-Fiのみのモデルだと、GPS機能を利用できません。ちなみに私は、iPhoneがあるので迷わずWi-Fiモデルを購入しました。ドローン操作では機体でGPSを受信しますので、iPadでのGPSの受信は必要ありません。
DJI公式自動飛行アプリ(DJI GS Pro)
ドローンの飛行経路を設定し、自動で飛ばすことができるアプリです。自動飛行アプリは他にもありますが、DJI公式ということで私はこれを使っています。iPad専用アプリですので、iPhoneで利用することはできません。
DJI公式のドローン操縦アプリ(DJI GO 4)
ドローン測量をする際には上記の「DJI GS Pro」を利用しますが、測量ではなく普通にドローンを飛ばしたいだけの場合には、iPhoneアプリでもリリースされている「DJI GO 4」が便利です。
App Storeで検索すると、「DJI GO」というアプリもありますが、これは過去に発売されていた機体専用のアプリですので、Mavic 2 Proなどの新しい機体を購入した人は「DJI GO 4」をインストールしてください。Androidでも利用可能です。
ドローンフライトナビ
ドローン飛行禁止区域を地図上で確認できるアプリです。航空法規制だけではなく、「小型無人機等飛行禁止法」に基づいた飛行禁止エリアも表示されます。国賓の来日や各種のイベントなどで一定期間、飛行禁止になる場合のエリアも表示されます。すべての禁止エリアを表示できるのは、このアプリだけです。
ドローン飛行チェック
DJI公式のドローン飛行禁止区域を地図上で確認できるアプリです。国交省で指定されている飛行禁止区域よりも広めにエリアが設定されているので、このアプリでも確認が必要です。このアプリで指定されている範囲は、ドローンのロックがかかり、機体が動かないようになっています。法律上は問題ないエリアなのに、DJIが指定している禁止エリアであるためにロックを外すための許可が必要になったりします。詳しくはこの記事にまとめていますので、参考にしてみてください。
標高確認アプリ
ドローンの自動飛行を設定するために、現場の標高差を確認しておく必要があります。現場まで行き確認するのが確実ですが、遠方の場合はこのアプリで大まかに把握可能です。
GNSS確認アプリ
Mavic 2 Proは自動で機体を安定させたり、障害物を検知したりして、安全に飛行させることができます。これはGPSの電波を受信しながら飛行しているから機体を安定させることができているためで、障害物などにより電波を受信できなくなった場合は、この安全飛行モードが切れ、手動操作のAモードへと切り替わります。突然手動操作になったとしても対応できるよう、手動操作での飛行訓練は必要ですし、事前にGPSの衛生数を確認しておきましょう。GPSとGLONASSが合わせて12以上確認できれば問題ありません。ただ、GNSS測量をこれまでやってきた経験から言うと、視界がひらけた場所で衛生数が足りなくなることはまずありません。
画像処理ソフト(Metashape)
ドローンで撮影した航空写真の点群データを補正し、オルソ化するソフトです。UAV測量や土量計算でガッツリ使いたい人はプロフェッショナル版が必要です。しかし、土地家屋調査士が立会いで利用するための重ね図を作りたい場合には、スタンダード版で十分対応できます。Metashapeを利用するためには、ハイスペックなパソコンが必要だと言われていますが、それは中品質の写真を400枚以上処理したい場合です。以下が公式サイトに記載してある内容なので、お持ちのパソコンのスペックと比較してみてください。
最低動作環境
Windows 7/8/10 32bit/64bit
Mac OS X Snow Leopard以降
Linux OS Debian / Ubuntu,GLIBC 2.13+(64 bit)
Intel Core 2 Duo 以降のCPU必須
4GB以上のRAM
推奨動作環境
Windows Windows: 7 SP 1以降/64bit
Mac OS X Mountain Lion以降
Linux OS Debian/Ubuntu,GLIBC 2.13以降(64 bit)
Intel Core i7 以降のCPU
32GB以上のRAM
写真1枚当たり約10メガピクセルと仮定すると、4GBのメモリ環境では写真を30~50枚程度処理でき、16GBのメモリでは、中品質でおおよそ300-400枚、最高品質では100枚程度の写真を処理できます。
Metashape|株式会社オークGISソフト(QGIS)
ドローンで撮影した航空写真には位置情報がありませんので、このソフトを利用して写真データに座標値を与えます。上記のMetashapeプロフェッショナル版を利用すれば自動で作成してくれますが、スタンダード版を利用する場合はフリーソフトのQGISがおすすめです。
QGISプロジェクトへようこそ!その他の周辺機材
その他の必要なものを列挙していきます。
MicroSDカード 64GB 3枚
Mavic 2 pro本体には8GBのデータ保存用ストレージがありますが、特に動画を撮影する場合にはすぐに容量がいっぱいになりますので、基本的にはSDカードにデータを保存し、こまめに入れ変えるようにしましょう。
参考までに、30分の動画撮影で22.5GBのデータ容量が必要になるようです。
一口にSDカードと言っても、書き込み速度も様々で、色々なメーカーのものがありますが、DJIの推奨はSanDiskの並行輸入版です。Amazonでは偽物も多いようなので、レビューをよく確認してショップを選びましょう。128ギガでは容量が大きすぎるので64ギガを2~3枚持っておけばいいと思います。バッテリーの保有個数との兼ね合いで枚数は決まるかと思います。
SIMケース
大事な観測データを無くさないよう、SIMカードはケースに入れて保管しましょう。
風速計
ドローンを飛ばす前に風速を必ず確認しましょう。5m/s以上だと危険ですのでフライトはやめましょう。安全第一です。
プロペラガード
これも安全対策のために必ず必要です。万が一衝突した場合に、鋭利なプロペラから守ってくれます。飛行禁止エリアで許可を取って飛行させる場合、装着は必須になります。
ランディングパッド
ドローン用のヘリポートです。特に砂埃が舞いやすい場所で離着陸をする場合には利用しましょう。
ランディングギア ガード
砂埃の巻き込み防止のためのパーツです。Mavic 2 Proは、折りたたみ式で持ち運びに特化した機体ですから、プロペラと地面との距離が近いのが特徴です。少しでも地面との距離を離し、砂埃を巻き込まないようにこちらも利用しましょう。
送信機 タブレットホルダー
ドローンのコントローラーにiPadを固定するためのアイテムです。
サンシェード
直射日光が当たっていると、iPadの画面が真っ黒になり見にくく、操作しづらくなってしまいます。こちらを利用しましょう。
ケーブル
コントローラーとiPadを接続するためのケーブルです。iPhoneを画面にする場合には不要です。
iPad mini Smart Cover
iPad mini用のApple純正スマートカバーです。折りたためばスタンドにもなります。
iPad mini ガラスフィルム
iPadの画面をフィルムで守りましょう。
iPad mini 背面保護クリアケース
冷却ファンを使う際には、このケースは外すようにしましょう。
Apple Pencil (第一世代)
DJI GS Proで飛行経路を設定するときには、アップルペンシルが操作しやすいです。
Apple Pencil用グリップ(マグネット付き)
アップルペンシルをiPad本体やカバーに、固定することができる商品です。
Apple pencil用キャップカバー
アップルペンシルのキャップと充電ソケットは無くしやすいので、この商品を利用しましょう。
標定点(対空標識)
航空写真に位置情報を与えるためのポイントとして、撮影箇所の四隅に設置します。GPSにて対空標識の中心の座標値を取得することで、撮影する航空写真に座標値を与えることができます。
まとめ
以上がドローンをはじめるのに必要な機材や周辺機器、ソフトやアプリのすべてです。今後、急速に普及することが予測されるドローン市場に、できるだけ早く参入し、着実にスキルをものにしていきましょう。すべてそろえたとしても30万円程度ですみますので、それでUAV測量の基礎を学べると思えば安いものです。新しい技術には、採算度外視の精神でチャレンジしていきましょう。これは、私がドローン導入をためらっていた時に、地元の先輩調査士から頂いたアドバイスです。ようやく、ドローン測量への第一歩を踏み出せました。
DJI公式の自動飛行アプリ「DJI GS Pro」の使い方はこの記事を参考にしてみてください。
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