土地家屋調査士事務所の開業までに準備しなければならないことをまとめてみました。土地家屋調査士会に入会したり、登録の手続きをしなければならないことは当然ですが、その他にも準備することはたくさんありますので、参考にしてみてください。
★★★ …… 必ず必要
★★ …… 余裕があれば必要
★ …… あると便利
目次
職印作成★★★
職印を作りましょう。大きさは18ミリ×18ミリです。「土地家屋調査士何某」(何某は氏名、フルネーム)と彫り、一般的には縦書きですが、横書きでも問題ありません。私は印鑑の匠ドットコムで作っていただきました。
電話契約★★★
固定電話番号を取得しましょう。外出時は転送の設定にするかと思いますが、その際、携帯にかかってきたものか、固定電話にかかってきたものかを判別するためにアナウンスの設定ができます。数秒間お客さんを待たせることになってしまいますが、全ての電話に事務所名を名乗るよりはマシかと思っています。以下に転送電話設定のダイヤルを記載しておきます。
・固定電話から転送設定
転送開始 142→1
転送停止 142→0
・携帯から転送設定
転送開始 契約番号→暗証番号→1
転送停止 契約番号→暗証番号→0
メールアドレス取得★★★
商売で無料のメールアドレスを使うなんて、会社の信用が低い証拠だなんて意見もありますが、私は迷わずGmailを使っています。有料のメールアドレスを取得されたい場合は、独自ドメインを取得し、「info@ドメイン名」のメールアドレスを登録すればいいと思います。
銀行口座開設★★★
私の事務所から最も近いのがゆうちょ銀行なので、ゆうちょ銀行で土地家屋調査士用の口座を開設しました。ちなみに、ゆうちょ銀行では用途が違えばいくつでも口座を開設することが可能です。ただし、口座1つの場合でも、複数の場合でも、金利付きで預金できる上限額は1300万円までです。それを超えると金利のつかない振替口座で管理されることになります。口座を2つ持つ場合は、例えば500万+800万が金利付きで預金できる上限額となり、その割合は自由に決めることができます。
そして、開設した口座で「ゆうちょダイレクト」を申し込めば、登記の電子申請で登録免許税を納付する際に必要な、ネットバンクとして利用できます。
住信SBIネット銀行なら振込手数料無料
さらに開業すると、銀行に行くことが増えるのですが、ゆうちょ銀行以外での支払いの際におすすめなのが、住信SBIネット銀行です。請求が来るたびに、事業用として使うだけではなく、家賃などの毎月決まった金額を自動で振込む際にも便利です。50万円以上口座に預けておくと、毎月他行宛に3回まで手数料無料で自動振込みができ、支払い忘れが無くなります。しかも、利用し続けていると、ランクが上がり、振込手数料の無料回数が増えていきます。わざわざ銀行に行かずとも、パソコンで振込ができるので非常に便利です。ただし、登記の電子申請で登録免許税を納付する際には、このネットバンクは使えません。
土地家屋調査士会入会★★★
所属する予定の土地家屋調査士会に連絡すれば、必要となる書類を教えてくれます。必要書類や、入会手数料は所属する調査士会により異なりますので、確認してください。
一応、私が入会する際に必要だった書類などを列挙しておきます。
- 登録申請書(収入印紙貼付)
- 入会届
- 職印届
- 証明写真
- 履歴書
- 合格証書
- 身分証明書
- 誓約書
- 戸籍抄本
- 住民票
- 入会に必要な金額、計20万円ほど(調査士会により異なります)
開業届、青色申告届★★★
個人事業主として開業したことを税務署に報告しましょう。開業届は必ず提出する必要があります。青色申告は、確定申告の時に65万円の青色申告特別控除を受けることができますので、開業届と一緒に青色申告届も提出することをおすすめします。
土地家屋調査士登録証、合格証書設置★★★
土地家屋調査士会に入会する手続きが完了したら、所属する土地家屋調査士会の会長に登録証を授与して頂きます。この際、土地家屋調査士のバッジ(徽章)、会員証カード、バーコード付きカード、手帳、倫理綱領、調査・測量実施要項の書類を頂きます。
授与して頂いた登録証と、土地家屋調査士合格証書、倫理綱領を額に入れ、事務所に掲示しましょう。合わせて、調査士業務の報酬額も事務所に掲示することが会則で定められています。
電子申請の登録★★★
表題部の登記を電子申請できるよう、準備しましょう。必要な手数料1万円です。オンライン申請に関しては、以下のサイトが参考になります。
・法務省 不動産登記の電子申請(オンライン申請)について
・オンライン申請入門
・土地家屋調査士のためのオンライン申請Q&A
完全オンライン申請(調査士報告方式)の方法についてはこの記事でまとめています。
看板設置★★★
調査士会への入会が終わったらすぐに事務所に看板を設置しましょう。ネットで検索された際、全国には同じ苗字の調査士がいらっしゃると思いますので、フルネームでの事務所名がおすすめです。
そして、「土地家屋調査士〇〇事務所」あるいは、「〇〇土地家屋調査士事務所」のどちらが良いか迷われる方がおられると思います。ネット検索で優位に表示されたい場合は、土地家屋調査士〇〇事務所。自分の名前を前面に押し出して、仕事をしていきたい場合は、〇〇土地家屋調査士事務所としましょう。
ちなみに、賃貸住宅の自宅の一室で開業される場合は、外に看板を設置するわけにはいきませんので、玄関に跡が残らないよう看板を設置しておきましょう。
納品用ファイル作成★★★
このように印字可能な納品ファイルを作成している調査士会が全国に点々としているようです。私は大阪土地家屋調査士協同組合で作成しましたが、熊本の調査士会でも注文できるとネットで拝見しました。もちろん、市販のA4ファイルで納品しても問題ありませんが、やはり、神は細部に宿ると言いますから、細かいところにまで気を配って仕事をすべきだと私は思います。
原本還付などのゴム印作成★★★
ほとんど全ての申請には原本還付がつきまといますから、手書きで書くよりはこのようなゴム印を作成しておいたほうが効率的です。コピーした書類に、写真にあるゴム印の上2つを押し、右下に職印を押せば原本還付用の書類の完成です。ただし、2枚以上からなる書類の場合は、ホチキス留めし、文書の継ぎ目に契印を押しましょう。また、2枚以上からなる書類の場合は、はじめか終わりの紙に原本還付であることを記載すればよく、全ての紙面に「原本と相違ありません」と記載する必要はありません。
補助者使用届★★★
特に現場を測量する時には、補助者の助けが必要です。1人で測量するよりも、2人で測量したほうが、作業効率、そして心理的な負担が全く違います。そこには2倍以上の価値があります。補助者使用届、住民票、写真を調査士会に送付すると、補助者証が送られてきます。
名刺作成★★★
開業してすぐは、新人研修や、ADR研修などで、出張がかなり増えます。その際、名刺交換をする機会がありますので、仕事が無かったとしても、作っておきましょう。土地家屋調査士専門のウェア・グッズ作成業者さんがおられるので、はじめはそこで3500円で作っていただきました。オリジナルの名刺がいい場合は、「ココナラ」でデザイナーを探すといいと思います。5000~1万円ほどで作れます。
作業着作成★★★
夏用と、冬用で2セットずつあるといいでしょう。購入時に胸に事務所名を刺繍してもらいましょう。文字数が増えると刺繍代が高くつきますが、土地家屋調査士という職業を世の中にアピールするためにも、省略せず、フルネームの事務所名を刺繍してもらいましょう。最近はワークマンが評判いいみたいです。
ホームページ開設★
土地家屋調査士の仕事がホームページからの問い合わせで巡ってくる可能性はかなり低いですが、ブログを通して、情報を発信することは重要なことだと思っています。
会計ソフト契約★★
開業してすぐ、売上が全然上がっていない時期に会計ソフトを導入する必要はないと思いますが、やはり余裕が出てきたら必要なものです。
簿記の知識がなくても簡単に仕分けが行えることはもちろんですが、銀行明細、クレジットカードなどの取引データ、レシートや領収書のスキャンデータを自動仕訳してくれるので、入力と仕訳の手間が大幅に省けます。
わからないことがあれば、カスタマーセンターに問い合わせてもいいですし、税務署に相談に行っても親切に対応していただけます。売上が1000万を超えたら消費税がからんでくるので注意しましょう。
クレジットカード契約★★★
事業をはじめると、なにかと買い物が増えます。どうせ買い物をするのなら、クレジットカードのポイントを貯めましょう。私のおすすめはAmazonマスターゴールドカードですが、楽天ヘビーユーザーの方は楽天カードをおすすめします。Amazon利用の場合は2.5%、その他の利用は1%のポイントが付き、Amazonプライム特典のすべてが無料で利用できるようになります。プライム会員の年会費が値上がりしましたので、これまでよりもさらにこのクレジットカードの価値は上がりました。
そして、意外と便利なのが電子マネーで、このAmazonマスターゴールドカードにはIDという電子マネーがついていますので、そのままIDで決済してもいいですし、Apple PayとしてiPhoneに登録し、支払うこともできます。私は五島という田舎に住んでいますが、意外と使える店が多く重宝しています。もちろんクレジットカード利用時と同じくポイントがつきます。
スマートロック(Qrio Lock)★
前から思っていたのですが、車の鍵はリモコンになったり、指紋認証がついたりと、日に日に進化を遂げていますが、なぜ自宅や事務所の鍵は全く代わり映えせずに、アナログなままなのだろうと不満でした。
先日、スマートロックを導入したら、家への出入りが死ぬほど快適になりました。自宅や事務所の鍵がオートロックになり、しかも、GPSで自分の居場所を検知しますので、外出先から家に近づいたら自動で鍵が開きます。専用のアプリで鍵の開閉や、合鍵の作成もできますし、自宅や事務所の鍵が不要となりました。ただし、スマホが壊れたり、バッテリーが切れた時のための保険として、やはり鍵は持ち歩くようにしています。
おわりに
いかがでしたか?
必ず必要な準備以外にも、あると便利なものなど、少し多めにまとめさせてもらいました。ぜひ上記の内容を参考に、開業の準備を進めてみてください。
ちなみに、土地家屋調査士事務所の開業に必要なPCソフトや測量機材、道具については、以下の記事でまとめています。
初めまして。私来春の開業を目標にし日夜、土地家屋調査士試験合格を目指す60歳男です。質問等この欄に記入して宜しいものか、お伺いいたします。
もちろん、よろしいですよ。何でもお聞きください。