測量士や土地家屋調査士のみなさんは、業務の効率化を図るため、ドローンの導入を検討されていることが多いのではないでしょうか? 測量用ドローンといえば、これまではDJIのPhantom4が定番でした。しかし、Mavic2が発売されたことにより、折りたたみ式に小型化され、全方向障害物検知がついたMavic 2 Proが現在、もっともおすすめの測量用ドローンになりました。そこで今回は、はじめてのドローン購入者にオススメの機体、Mavic 2 ProとMavic Miniの紹介をしていきます。
測量用ドローン1台目ならMavic 2 Proがオススメ
ドローンの新規導入におすすめの機体はMavic 2 Proです。Mavicの以前のモデルはPhantomのカメラの性能には及ばず、測量で活用するにはスペック的に物足りないものでした。しかし、Mavic 2 Proが発売され、そのカメラのスペックはPhantom 4 Proとほぼ同じになりました。
しかし厳密に言うと、レンズの画角が異なります。Phantom 4 Proのほうがより広角のレンズで広い範囲を撮影できますが、画角が狭いMavic 2 Proは少ない範囲をより詳細に撮影できるため、限界高度が上がりました。Mavic 2 Proのほうがより高低差のある現場に対応できるということです。
そして、航空法の申請が不要となるMavic Miniが発売されました。航空法で定められた飛行禁止区域でドローンを飛ばす際には、国土交通省の許可が必要になるのですが、Mavic Miniは200g未満のトイドローンであるため、それが不要となります。
ただし、Mavic 2 Proと比べてMavic Miniはカメラのスペックが落ちるため、測量の精度内で使える限界高度が51%ほど下がってしまいます。電柱の高さが10~15mほどですから、限界高度22mのMavic Miniは高低差のある現場に対応しづらく、写真の枚数が増えたり、画像の解析により時間がかかってしまいます。しかも、DJI GS Proという空中写真測量で必須の自動飛行アプリに対応していないのは大きなマイナスポイントです。
ですから、国交省への飛行許可の申請が必要になりますが、より精度の高い写真測量を行なうためにはMavic 2 Proがもっともオススメの機体になります。
どうしても飛行許可の申請をしたくない人や、調査図のための航空写真さえ撮影できればいいという人はMavic Miniがオススメです。
機体名 | 地上画素寸法1cmでの 限界高度 |
地上画素寸法2cmでの 限界高度 |
センサー | レンズ (35mm換算) |
視野角 | 重さ | ビジョンシステム | 最大飛行時間 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Phantom 4 Pro |
36.7m | 73.4m | 1インチCMOS 有効画素数:20 MP |
24mm | 84° | 1388g | 前方、後方、下方の ビジョンシステム |
30分 |
Mavic 2 Pro |
43.0m | 85.9m | 1インチCMOS 有効画素数:20 MP |
28mm | 77° | 907g | 全方向障害物検知 | 31分 |
Mavic Mini |
22.0m | 44.0m | 1/2.3インチCMOS 有効画素数:12 MP |
24mm | 83° | 199g (航空法の申請不要) |
なし (GPSポジショニングあり) |
18分 |
そして、Mavicシリーズは小型で軽量、折りたたみ式で持ち運びやすさに特化したモデルですので、折りたたみ式ではないPhantom 4 Proよりも扱いやすくなりました。31分の飛行時間、全方向の障害物センサー、飛行音が静かという点でもMavic 2 Proがオススメです。
さらに、フライトモードも異なります。低速でフライトすることで構図を安定させるトライポッドモード、そして、ジェスチャーでシャッターを切ることができるジェスチャーモードもMavic 2 Proには搭載されました。
そしてMavic 2 ProとMiniでは、ATTIモード(通称Aモード)の切り替えができないのが大きなポイントです。通常、ドローンはGPSの受信や障害物検知をしながら自動で機体を安定させて飛行しているのですが、この安全制御装置を切った状態で、完全に手動でドローンを飛ばすモードがAモードです。手動で飛ばす必要がないくらい、ドローンの性能が上がったため、切り替えのスイッチを無くしたのでしょうが、日本の航空法ではそうはいきません。
航空法で定められた規定では、この手動飛行モード(Aモード)で10時間以上の飛行訓練を積み、許可を得てからでなければ人口集中地区や空港等の周辺でドローンを飛ばすことは禁止されています。
この10時間以上の飛行訓練ですが、Aモードに切り替えることができないMavic 2 ProとMavic Miniでどうやって訓練するかは以下の記事にまとめていますので、参考にしてみてください。
というわけで、上記の記事にあるいずれかの方法で10時間以上のトレーニングを積み、人口集中地区や、空港等の周辺で利用する場合には許可申請を行い、ドローンを活用してください。
Mavicに慣れたら導入すべき機体
Mavicを使い、写真測量の基礎を身につけた場合は、さらに上位モデルのInspire 2や、Phantom 4 RTKの利用を検討してみてもいいかもしれません。
Inspire 2とは、MavicやPhantomよりも高性能なカメラを搭載したプロ仕様のドローンです。より高低差のある現場、または一度でさらに広範囲の写真測量が可能になります。
そしてPhantom 4 RTKとは、GNSS測量のRTK方式を写真測量に応用した技術で、より位置精度の高い写真測量が可能となる機体です。位置精度が高いため、画像処理時の位置補正作業が短縮され、対空標識も少なくて済みます。導入するには100万円ほどかかってしまいますが、今後ドローンで測量を行う場合の基本となりそうな技術なので、ぜひとも将来的には導入を検討すべき機体だと思います。
ドローンを利用する場合には、航空法などの法律を守り、細心の注意を払いながら操作する必要があります。天候や周囲の状況などにも配慮して、安全に業務を行いましょう。
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