仕事はAIに奪われる?土地家屋調査士や測量士の将来性について

AI

オックスフォード大学の研究で「あと10年で無くなる仕事」が発表されました。なんとその中に測量技術者が入っており、測量士はもちろんですが、土地家屋調査士も測量と登記を行う専門家ですから、「今後、この業界は大丈夫なのだろうか?」と不安を感じた方々がたくさんおられると思います。そこで今回は、今後どんなことに気をつけて仕事をしていけば時代の流れに淘汰されることなく、事業を継続していけるのかをまとめたいと思います。まずは以下に「10年で無くなる職業」「無くなりにくい職業」、そして「2030年に必要とされるスキルベスト20」を列挙します。

10年で無くなる職業

測量技術者、地図作成技術者

・銀行の融資担当者

・スポーツの審判

・不動産ブローカー

・レストランの案内係

・保険の審査担当者

・動物のブリーダー

・電話オペレーター

・給与・福利厚生担当者

・レジ係

・娯楽施設の案内係、チケットもぎり係

・カジノのディーラー

・ネイリスト

・クレジットカード申込者の承認・調査を行う作業員

・集金人

・パラリーガル、弁護士助手

・ホテルの受付係

・電話販売員

・仕立屋(手縫い)

・時計修理工

・税務申告書代行者

・図書館員の補助員

・データ入力作業員

・彫刻師

・苦情の処理・調査担当者

・薄記、会計、監査の事務員

・検査、分類、見本採集、測定を行う作業員

・映写技師

・カメラ、撮影機材の修理工

・金融機関のクレジットアナリスト

・メガネ、コンタクトレンズの技術者

・殺虫剤の混合、散布の技術者

・義歯制作技術者

・造園・用地管理の作業員

・建設機器のオペレーター

・訪問販売員、路上新聞売り、露店商人

・塗装工、壁紙張り職人

出所) オズボーン氏の論文『雇用の未来』

無くなりにくい職業

・レクリエーションセラピスト

・最前線のメカニック、修理工

・緊急事態の管理監督者

・メンタルヘルスと薬物利用者サポート

・聴覚医療従事者

・作業療法士

・義肢装具士

・ヘルスケアソーシャルワーカー

・口腔外科

・消防監督者 

・栄養士

・施設管理者

・振り付け師

・セールスエンジニア(技術営業)

・内科医と外科医

・指導(教育)コーディネーター

・心理学者

・警察と探偵

・歯科医師

・小学校教員

出所) オズボーン氏の論文『雇用の未来』

2030年に必要とされるスキルベスト20

1. 戦略的学習力

2. 心理学

3. 指導力

4. 社会的洞察力

5. 社会学・人類学

6. 教育学

7. 協調性

8. 独創性

9. 発想の豊かさ

10. アクティブラーニング

11. 心理療法・カウンセリング

12. 哲学・神学

13. 伝達力

14. サービス志向

15. アクティブリスニング

16. 高度な問題解決力

17. オーラルエクスプレッション

18. コミュニケーション学・メディア学

19. 滑舌

20. 判断力・意思決定力

出所)The Future of Skills : Employment in 2030

「無くなりにくい職業」と、「必要とされるスキル」の共通点

上記の一覧を見てもらえばわかると思いますが、必要とされるスキルの共通点は「人と関わる仕事」であるかどうかです。もちろん、人と関わるといってもレジ係や、受付などのように決まったマニュアルをこなすだけの仕事は、コンピュータに代替される可能性が高いです。しかし、受付といっても、高級ホテルのコンシェルジュのように、誰もができない専門性の高い特別な仕事の場合はコンピュータ化しづらいということです。

あと10年で測量の仕事は無くなるのか?

さて、ここからが問題の測量の話題です。現場を測量するためには、これまでトータルステーションを使うのが一般的でしたが、今後AIの普及で完全に機械化し、人がする仕事が無くなってしまうということです。

数ヶ月前に測量機器の業者が事務所を訪れ、ドローンを使った測量とデータ解析を実演してもらったのですが、予想以上の精度と利便性を備えたものでした。一番驚いたのが、草木が茂っている土地の現況を3D表示できたことです。原野や山林の場合はさすがに伐採後の観測となるだろうと思っていたのですが、かなり細かく広範囲の標高を取得できるため、土地の高さ、ひいては草木の高さまでもが立体的にデータ化できていました。もちろん草木の高さのデータは不要なため、範囲指定でサクッと不要なデータを削除するだけで測量した土地の形状がハッキリと確認できたのです。この技術を使えば、平面図や縦横断図の作成がドローンを飛ばすだけ、あるいはレーザースキャナーを設置するだけで終わってしまうということです

もちろんAI技術はドローンばかりではありません。現在では会計ソフトを利用し、誰もが決算を行っているように、土地家屋調査士や司法書士の登記に関する書類の作成も専用のソフトが普及し、有資格者でなくともわかりやすく自動で書類を作成してくれるサービスが一般の人向けに普及するかもしれません。それに追い打ちをかけるのが超少子高齢化と不動産市場の縮小です。

今後の世の中の大きな流れ

2020年に東京オリンピックがあり、2025年に大阪万博が開催されるため、2013年から海外投資家等が日本で不動産投資を行ってきました。不動産は所有から5年以下で売却した場合、税金が高いため、2020年のオリンピック開催後が投資家にとって不動産売却の絶好のタイミングとなります。

しかも2025年になれば、団塊ジュニア世代が50歳を越え、住宅ローンが組みにくくなります。つまり、人口がまとまっている世代が住宅ローンを利用し家を建て終わるということ。日本で少子化がはじまってずいぶん経ちますから、子供を産む世代の人口自体が少なく、今後ベビーブームが起きる可能性もかなり低いはずです。

さらにさらに、少子化の影響で2033年には空き家率が30%を越えます。建物の新築を制限し、商業用の施設に改築したり、セカンドハウスを持つことを推進したり、崩れかかった危険な空き家の除却をしたりと、不動産市場を取り巻く価値観は大きく変化することでしょう。

土地家屋調査士や測量士ができること

様々な要素を列挙し、不安を煽ってしまいましたが、本当にこういう時代が訪れた場合、我々技術者が行える業務はかなり限られた範囲になってしまうはずです。人口が減り、自治体の税収が減ると、当然に公共事業は減るわけで、国土調査や14条地図作成に使える予算は自治体ごとにどれほど残るのでしょうか? そして、土地家屋調査士や測量士としてやれることは、何が残っているのでしょうか?

土地家屋調査士の新人研修で講師の先生はこう言われました。土地家屋調査士の仕事というのは、不動産登記を行う仕事だが、それ以外にも知っておかなければならないことが山のようにある。例えば、建物の建築基準法、相続等に関わる民法、不動産にまつわる税金、そしてもちろん、法改正に関する新しい知識などなど。

これらに関する知識をしっかり吸収し、自分のものにすることによって、必ずどの業種よりもお客様に有益な情報を提供できる立場にあります大きな法改正が起こったときには、ライバルと差をつけるチャンスなのですから、必死に時代の流れに喰らいついていかなければならない、と言われました。

私達は測量や登記における専門家ですが、常に最新の情報を広範囲で吸収し、専門家の中の専門家になる必要があります。ワンストップサービスという業務形態が流行っていますが、一つの事務所に様々な種類の有資格者を在席させることがそのサービスの価値ではありません。そうではなくて、「測量や登記に関する相談ならなんでも、あの事務所に行けば解決する」と思われるようになることがワンストップサービスなのだと講師の先生は言われました。

このサービスのことを私は、「ワンパーソン・ストップ・サービス」と命名します。笑

資格の組み合わせで、土地家屋調査士としての専門性を高めたい方は以下の記事が参考になると思います。

土地家屋調査士になるために通信講座を検討している人はこの記事を参考にしてみてください。

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コメント

    • ヒロポン
    • 2018年 11月 06日

    いずれは実家も空き家になるかもしれません。
    不動産が負動産に怖い怖い^_^;

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