平成30年1月22日に五島市にて開業致しました、清川勝一と申します。
土地家屋調査士という仕事の存在を知ったのは成人してからでしたが、父が測量の仕事をしている姿を子供の頃から見ていたため、測量業は私にとって身近な職種でした。
測量機器といえばトランシットですが、初めてあの機械を触ったのは小学校高学年の夏休みの時。夕食後に父に呼ばれ、庭に出ると、空に向かってトランシットが低めに据えられていました。促されるまま片目を瞑り、中を覗くと教科書なんかでお馴染みの、あのウサギが餅つきしている様がくっきりと満月に刻まれていました。レンズの向きを調整する方法を教わり、動くスピードが意外と早い満月を、ジリジリとネジを回しながら追いかけたのを今でも鮮明に覚えています。
さて、土地家屋調査士として開業するまでの経緯を申し上げますと、24歳で地元に帰り、父の営む測量会社で公共事業に携わりました。月を見るために触ったあのトランシットが、この頃には自動でプリズムを追いかけるトータルステーションになっていたのですから、圧倒的な技術の進歩を実感しました。
それから3年ほどして、やはり測量士をしていた弟も地元に戻って来たため、業務範囲の拡大のため、私は土地家屋調査士試験の受験を始めました。どうやら測量士よりも難しい試験らしく、その分稼げる可能性の高い資格だということで、土地家屋調査士という職業が具体的にどんな仕事なのかもよくわからないまま教材を取り寄せました。もちろん、学習を進めるごとに、業務の内容はハッキリとわかってきたのですが、今でも友人や知人にこの仕事を一言で何と説明すれば理解してもらえるのか、未だにわからずにいます。
「登記をする仕事」と言えば司法書士との違いを説明する必要があり、「測量をして登記する」と言えば測量士との違いや、測量が不要な登記の説明をしなければならない。「建物の表題登記、土地の分筆なんかをする」と言ったこともありますが、相変わらず相手の表情は釈然としませんでした。つまり、「一言では説明不可能な仕事」ということなのでしょう。
兎にも角にも昨年、ようやく念願の合格証書と登録証を頂くことができ、スムーズに個人事務所を開業することができました。まだまだ開業したばかりで、頂いている仕事量は少なく、社会的な信用も実務経験もない、まっさらな白紙のような状態ですが、これから頂く仕事を一つ一つ丁寧にこなし、着実に信頼と実績を積み重ね、一言では語り尽くすことのできない土地家屋調査士という尊い仕事を世の中にアピールしていきたいと思っています。どうぞよろしくお願い致します。
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