土地家屋調査士試験 合格体験記

勉強

平成27年度、土地家屋調査士試験の初受験。LECの通信講座で動画を見ながら一通り勉強し、過去問を3周繰り返し解いた。結果はもちろん惨敗。択一式問題は適当にマークシートを塗り潰した時と変わらないような正解率で、書式の採点すらしてもらえなかった。

それから一年かけて、改めて過去問5周解いてみると、ほぼ答えを丸暗記してしまい、日を追うごとに勉強時間は短くなった。そして、ついに迎えた2度目の受験。やはり択一の合格基準に得点は届かなかった。過去問を暗記しただけでは、やはり基本的な力は身についていなかったらしい。しかも例年は、土地よりも建物の作図のほうが簡単なことが多かったにも関わらず、この年に限っては建物の問題が難解で、しかも学校によって模範解答が2パターンに分かれてしまうような年だった。建物を先に解いた私は、出題者の罠にまんまとハマり、時間を失い、比較的簡単だった土地の問題を解いている途中でタイムアップとなった。

3度目の正直

過去問を丸暗記するスタイルの勉強方法では、合格できないと確信した私は、学習スタイルを変えた。1問2.5点も配点のある択一で、高得点を叩き出し、書式で少々失点しても逃げ切る戦略に変えた。通信講座で手に入れていた動画を、一から見返し、択一の選択肢でわからない箇所を徹底的に調べ、ノートに記録。土地家屋調査士試験に必要な基礎固めを徹底して行った。

どれだけ仕事が忙しかろうが、体調が悪かろうが、飲み会で酔って帰ってこようが、試験が終わった翌日だろうが、毎日択一を10問、書式を2問解く生活を続けて2年半が過ぎた。いい加減過去問も見飽きてしまい、次がダメならもう諦めるしかないと思っていた。

3度目の受験。平成29年度の土地家屋調査士試験。試験の前日は酒を飲むわけにもいかず、たまたま通りかかった神社に賽銭を投げ、神頼みするくらいしかやるべきことは無かった。

そして、ついに試験がはじまった。去年もそうだったが、答えを書いていると右手が震え、ただでさえ字が下手くそな私の文字は醜く歪み、二重線での訂正を何度も繰り返しながら時間の限りに解答を書き殴った。

試験終了15分前、土地の座標を1、2点計算せずに作図を完成させた。あとは座標値を計算し、土地の求積をすればはじめて本番で時間内に問題を解き終わることになる。数分で求積まで終わらせたのだが、確認のため、もう一度電卓を叩くも、答えがおかしい。3度、4度と計算し直していると、ついに終了3分前。

「最後に名前の書き忘れがないかどうか確認をお願いします」と試験官の声が聞こえ、
「名前を書き忘れるなんて、そんなバカな……」と思っていると、隣の受験生が大慌てで解答用紙に名前を書いていた。
「そういえばマークシートには書いたけど、書式の解答用紙にも記名欄あったっけ?」と自分の解答用紙を見てみると、左端で縦長い空欄がのっぺらぼうになっていた。

血圧急上昇。求積してた場合じゃなかったと真っ青になりながら、氏名や受験番号を書き終えると同時に試験は終了し、体調が悪くなるほどの動悸を感じながら解答用紙を回収された。隣の受験生が違う人だったら私の書式は0点だった。この2年半の勉強が全く無駄になっていたかもしれない。冷や汗のような不快な汗や動機が治まるまで、しばらく席を立つことができなかった。

2重にある結果発表

その日の夜、ネットで解答速報が公開された。択一の正解率85%、書式の作図は合っていたが、あれだけ時間をかけた座標値と求積が間違っていたものの、過去最高の出来で手応え十分。しかし、それから数日後に公開されたLECの解答速報の動画を見てみると、この手応えは一瞬で消えてしまう。例年必ず2〜3問は含まれていた個数問題がこの年は1問もなく、しかも例年に比べて全体として難易度が低かったらしいのだ。85%の正答率で、逃げ切りを確信していた安心感はあっという間に姿を隠し、正式な試験結果が届くまで落ち着かない日々を送った。

そして届いた筆記試験の結果。合格点からたった1.5点得点が上だっただけで、本当にギリギリセーフの試験結果だった。1点に笑い、1点に泣くとはよく言われることだが、まさにそれと同じ結果となった。しかし、これで合格ではないのが土地家屋調査士試験。その2週間後にある口述試験でようやく最終的な合否が決まるのだ。早速、口述試験対策をすべくテキストを購入し、勉強をはじめたのだが、一度緩んだ生活習慣が再び受験時期のように戻ることはなく、何度かテキストを読んだだけで、全く内容を記憶することなく、試験当日を迎えてしまった。

結果は散々だった。質問された内容がよくわからず、とにかく何か答えなければならないと思い、記憶にある条文を口にすると、「私が質問したことは〇〇に関することなんですが、」と答えを遮られ、さらには最後の質問という前置きがあったにも関わらず、私があまりに答えられなかったためか、最後にもう一問追加で出題されてしまった。面接官が紙にチェックしながら終始面接を行なっていたのだが、私が質問に答えられなかった時のチェックされている内容が気になって仕方なかった。

そしてようやく届いた最終的な試験結果。このサイトのタイトルにもあるように、念願の土地家屋調査士になることができた。口述試験で落ちる人はいないとは言われていたものの、受験番号の数を確認すると九州地区からは1名不合格者がいたようだった。

受験生の皆様へ

今現在、土地家屋調査士試験の勉強を頑張っておられる受験生の皆様へ、私からのアドバイスがあるとすれば、すでに書いたような内容となります。わかりやすいように箇条書きでまとめておきます。

1.毎日勉強すること
2.基本を大切にすること
3.面接を舐めないこと
4.名前を書き忘れないこと(重要)笑

普遍的で申し訳ないですが、私からのアドバイスは以上の4点に尽きます。土地家屋調査士試験に限らず、何か目標を持ってそれを達成することは素晴らしいことです。合格後も勉強すべきことが山積みで、決して順風満帆とは言い切れない生活を送っていますが、満たされたら人生は終わりです。一生満たされることなく、目標を見失うことなく、成長し続けていこうと思っています。

詳しい勉強方法について知りたい人は下の記事を参考にしてみてください。

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コメント

    • ちきちき
    • 2020年 7月 15日

    来年の土地家屋調査士試験を受ける予定です。
    テキストを買おうと思うのですが、おすすめのテキストはありますか?
    今は土地家屋調査士受験100講の不動産登記法と記述の方を買い、民放は宅建の教材の使用を考えています。
    ただ、土地家屋調査士受験100講は最新で2018年発行しかないため少し不安です。

      • 清川 勝一
      • 2020年 7月 17日

      ブログの閲覧ありがとうございます。土地家屋調査士の勉強頑張ってください。独立後には比較的安定した収入を得やすい、いい資格だと思っています。

      質問に対する回答ですが、私の考えでは土地家屋調査士試験を独学で合格することはかなり遠回りになるため、オススメしていません。
      詳しくはこの記事で説明しています。
      土地家屋調査士試験に独学で合格することはできるのか?

      今回の質問に回答するため、知り合いの独学受験の合格者に連絡を取って使っていたテキストを教えて頂きました。その回答は、択一は過去問をひたすら回し、書式はLECの書式雛形集、民法は内田民法Ⅰ、Ⅱを利用したとのことでした。ただし、合格前年に27万円ほどするLECの書式強化コースを申し込んで合格レベルになったと言っていたので、はじめから通信講座を利用したほうがいいとおっしゃっていました。

      通信講座選びに関してはこの記事で説明していますので、参考にしてみてください。
      土地家屋調査士おすすめ通信講座・予備校比較【1分間診断テスト】
      それでは、勉強頑張ってください。応援しています。

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