ソフトバンクグループ過去最大1.4兆円の大赤字に転落した理由は、行き過ぎた節税が原因だった

節税

ソフトバンクグループは2018年3月期に1.3兆円、2019年に3月期に2.3兆円の営業利益を出していたが、両期とも500万円しか法人税を納めていないことが問題視されていた。その方法は、もちろん違法な税金逃れではなく、法の目をかいくぐるかのような賢い節税方法。まずはその方法を説明します。

なぜソフトバンクグループの法人税は少なかったのか?

ソフトバンクグループ(以下ソフトバンク)はビジョンファンドという投資ファンドを運用していた。ビジョンという名の通り、今はまだ小さな業態だが、これから発展する可能性の高い企業の株式を買いまくっていた。

例えば、通信のSprintとか、コワーキングスペースのWeWorkとか、配車アプリのUber、企業向けメッセージアプリのSlack、ホテルのOYO、半導体のarmなど、80社以上にのぼる。

ここに、法人税逃れのカラクリがあった。以下がその流れ。

  1. 海外の会社を買収(株式51%保有で子会社化)
  2. ソフトバンクが大株主になったので、買収した会社の配当を好きなように設定できる
  3. 買収した会社のさらに子会社(孫会社)の株式を配当としてソフトバンクが大量に受け取る
  4. 日本では、通常は配当をもらったら収益になるが、海外子会社からの配当は95%非課税
  5. 孫会社の株式をほとんど失ったため、買収した会社の株価が大暴落
  6. 3兆円で買った海外の会社の株式を2兆円でビジョンファンドに売却
  7. 1兆円の損失となり、ソフトバンクグループの利益1兆円と相殺され、利益ゼロ。法人税もゼロとなった

だからソフトバンクの利益は1~2兆円もあるのに、株式の売却損失で相殺され、利益が出ていないことになり、法人税などの税負担を免れていたということ。

見せかけの赤字で、他の企業よりも支払う税金が少ないために、株主には多くの配当金を支払うことができ、会社も株主も従業員もハッピー。困るのは税収が減る国や自治体だけ。

ただし、日本もそんなにバカじゃないから、子会社の株式を安く売って損失を出すこの節税方法の対策に乗り出すようだ。具体的には以下の感じ。

海外子会社から企業価値の1割を超える配当があった場合、海外子会社の帳簿価格を無理矢理引き下げることにする。つまり配当を払って企業価値が下がり、海外子会社の株価が暴落したとしても、購入価格が実際に購入した価格よりも大幅に少なく見積もられるため、株価下落による意図的な赤字が出せなくなる。

タックスヘイブンとは何か?

法人税を安くする方法でもっと一般的なやり方は、会社を日本ではなく海外に置くことだ。

アメリカの大企業トップ100社のうち82社、そして日本の上場企業の時価総額上位50社のうち45社が子会社をタックスヘイブンに持っている。つまり、日米関係なく大企業であればほとんどすべての企業がタックスヘイブンを利用し、節税をしているということ。

ちなみにタックスヘイブンとは、租税回避地のこと。大企業が出した利益を、タックスヘイブンに作った子会社(ペーパーカンパニーとかシェルカンパニーとか呼ばれている)に移すことで、実際よりも少ない利益になり、法人税などが安くなるという仕組み。

これは、グローバルなネット系の企業が頻繁に使う節税方法かと思っていたが、そんなことはない。飲食店や銀行、モノづくり企業など、どんな業種でも使える手法だ。だからこんなにも普及している。

ちなみに、EUが発表したタックスヘイブン・リストは以下の通り。

  • アメリカ領サモア
  • バーレーン
  • バルバドス
  • グレナダ
  • グアム
  • 韓国
  • マカオ
  • マーシャル諸島
  • モンゴル
  • ナミビア
  • パラオ
  • パナマ
  • セントルシア
  • サモア
  • トリニダード・トバゴ
  • チュニジア
  • アラブ首長国連邦

上記のいずれかの国で、ペーパーカンパニーを作り、利益を移すことで節税となる。しかし、ここからが一般的に理解されていない重要なポイント。

単純に海外に子会社を作り利益を移すと、移転価格税制の対象外となり、法人税が発生する。これでは子会社を作った意味が全くないし、これを知らずに捕まる経営者がかなり多い。

重要なことは、わかりやすく言えば子会社だが、厳密に言えば子会社ではないペーパーカンパニーを作ること。つまり、親会社とは全く関わりのない、新しい会社(ペーパーカンパニー)をタックスヘイブンに作ることにある。そして、子会社ではないから、新会社のすべての権利はトラスト(信託銀行)が握ることになる。

作り方は簡単で、ゴールドマン・サックスなんかの銀行に行って、新会社に関する権利はすべて銀行に持ってもらい、契約をし、数十億払えば完成。もちろん、会社を作る国やお金の使い道は、銀行ではなく作る人が決めることができる。あとは計画的に、親会社で出た利益をペーパーカンパニーに移していけば法人税は発生しない。ペーパーカンパニーは厳密に言えば子会社ではない、ただの取引先だから、ペーパーカンパニーで出た利益は課税対象外ということになる。

ここまでが法人税がかからないカラクリ。

所得税はどうなる?

ただし、シェルカンパニーが出した利益を、個人の所得にすると、今度は所得税がかかる。アメリカの居住者なら、アメリカの所得も、海外での所得もすべてアメリカのルールに則った所得税が課税される。しかし日本の場合、海外で得た所得は、その国の所得税のルールに則って課税されることになる。

だから、例えば海外で得た所得に税金が一切かからないタイに住めば、シェルカンパニーからの所得に課税されることはない。

2020年のソフトバンクグループは大赤字

そんな、タックスヘイブンを利用するよりも安上がりな節税方法で利益を出しまくっていたソフトバンクグループだが、今回のコロナショックの影響で、世界的な株安になり、尋常ではない被害を受けた。

2020年3月期の連結最終損益が国内企業で過去最大規模の1兆4381億円の赤字に転落したソフトバンクグループ。ビジョンファンドでの88社の出資企業のうち15社程度の破産を予想しているとのこと。

行き過ぎた投資は、膨大な利益を生むことがあるが、同時に膨大な損失を生む可能性を秘めている。

せっせと体を動かして働き、きちんと税金を収めて、何かあったときのために現金を少しだけ多めに蓄えておく。ただし、今回のコロナショックでわかったように、時代の大きな流れに逆らわない投資や経営を欠かさない。このやり方が普通だけど一番安全な気がします。

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