価格競争は身を滅ぼす!孫正義も実行した「弱者の戦略」について

経営戦略

はじめに

土地家屋調査士開業後4年目未満を対象とした有料新人研修に参加してきました。その講義の中で、全ての士業、あるいは全ての経営者の参考になりうる開業後の経営戦略についての話があったので、ここで紹介したいと思います。

開業間もない経営者がやりがちな間違った戦略

業界での経験や人脈が全くないまま開業に踏み切った、あるいは仕事をもらえる見込みはあるのだけれど、それだけを頼りに今後仕事をしていくのは心許ないと考えている方は多いのではないでしょうか?

そこで多くの人がやりがちなことといえば、仕事を貰えそうな会社を片っ端から訪問し、名刺をばら撒くこと、あるいは収入ゼロよりマシだと思い、ライバルとの差別化を図るように値下げをして仕事を増やそうとするのかもしれません。

しかしハッキリ言って、営業をかけることも、価格を下げることも、全く無意味です。当たり前ですが、開業して間もない経営者に蓄積された経験やノウハウはありません。経験が浅いということは与えられた仕事がこなせない可能性があるということ、つまり信用がないということです。信用が無ければ借金すらできないように、社会的な信用がない人がもらえる収入はないのです。

そして、価格を下げることに関しても全く無意味です。というより、身を滅ぼします。開業間もない新参者が、経験の豊富なライバルよりも効率的に仕事をこなせるはずもなく、労働時間は長くかかり、しかも値下げをしているために売上が減ります。

簡単に計算してもらえばわかると思いますが、70円かけて作ったパンを100円で100個売るとします。売上1万円の、利益3千円で利益率30%です。これを80円に値下げして売った場合、同じ3千円の利益を生むためには3倍の300個のパンを売る必要があります。20%価格を下げただけで利益率は12.5%まで落ちるのです。つまり、パンの値段を20%下げると、利益は42%も減ってしまうのです。

弱者が強者に勝つための唯一の戦略

そこで値下げではなく、値上げという逆転の発想をしましょう。ライバルが100円で売っているパンを120円で売るのです。ライバルが作れないような美味しいパンを作り、販売するのです。そうした場合、値段を20%上げただけで、利益率は42%増えることになります。おまけに、パンの単価を上げたために販売すべき個数が減り、労働時間が短くなります。

しかし、ライバルが100円で売っているパンを120円で売るとは一体どうすればいいのでしょうか?

結論から言いましょう、それは「専門家になる」ということです。ライバルが100円均一のパン屋をしているのなら、あなたは1個120円のメロンパン専門店をはじめればいいのです。

私のように、土地家屋調査士として働いている場合は、ライバルの誰もが得意としている「建物の表題登記」をメインに取り扱うのではなく、誰もがやりたがらない、面倒な登記の専門家になればいいのです。法改正があり、業界全体が混乱している時なんかは特にライバルを出し抜くチャンスだということです。寝る間を惜しんで社会の変化に対応しましょう。それはきっとあなたを専門家にする強力な武器となるでしょう。

まとめ

以上のような内容を新人研修で聞き、雷に打たれたような気分だったのですが、よくよく考えてみると、この弱者の戦略に関する本を私は読んだことがありました。これはソフトバンクが学割を使ってドコモからユーザーを奪った戦略であり、アサヒビールが「キレ」を追求してキリンビールを出し抜いた戦略でもあります。そう、かの有名な『ランチェスター戦略』です。『孫子の兵法』も面白いので合わせてぜひ読んでみてください。

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